
インディーズ・レーベルで1枚CDを出したものの、ベーシストが殺人未遂で収監されちゃったものだから、長らく燻っていた九州の中年ロックバンド(パンク系?)が、保健所連続爆破事件に関わったことを契機にに再出発するお話よ。34歳の主人公は、現像所のアルバイトで生計をたててます。母親を犯せとシャウトしたり、鶏首を食いちぎるパフォーマンスをしていたバンドなんですが、中年になってもいまだロックの夢を捨てず、焦る日々なり。
同時期、痛い系の女の子が動物解放を目指し(?)、保健所をダイナマイトで爆破する事件を起こします。ひょんなことからその反社会的活動を扇動したのは、彼らのCDじゃないかとTVで報道されちゃった! そこに、ムショからベーシスト(40歳)が戻ってきて、バンドは猛然と活動再開しますよ! <目次>を観ていただければ、本書の音楽的な世界観は、なんとな〜しに察していただけるかも。東山彰良さんの「IT'S ONLY ROCK'N ROLL イッツ・オンリー・ロックンロール」(光文社)です。
マスコミで取り上げられたからといって、所詮は地方都市の中年マイナーバンド。ドサ回りから這い上がってゆき、四苦八苦する姿が笑えます。15の春に彼が童貞を捧げた同級生(現人妻)、初期バンドメンバーでいまや成功者の国民的ロッカー、『智恵子抄』状態のベーシストの妻、保健所連続爆破犯人らの個性的な助演陣がむちゃくちゃに絡みまくって、起爆剤になって、彼らの日比谷公会堂公演まで疾走してゆく展開が素晴らしいの! 暴力、セックス、ドラッグと、必須の素材がまんべんなく散りばめられています。
さて、中年になって強烈な光を浴びた彼らが迎える物語の終わりは、ロックをモチーフにしているだけに、突如として無慈悲な暗い影に襲われます。ベーシストがバンドを抜けるんですけど、その理由と結末は本書を読んでみてください。無性に泣けます。ぜひ、続編が読んでみたいわぁ。
<目次>
ARE YOU READY TO ROCK? I'M READY TO ROLL
TRAIN TO NOWHERE
REVOLUTION STARTS HERE
夢見る頃を過ぎても
めんたい・シティ・ロッカーズ
THE GIRL IN THE DIRTY BOOTS
THE TRAVELING BAND
TOKYO BLUES BIG-BANG
BEAT'S SO LONELY
愛じゃないのさ
災いの鳥
春夏秋冬
HELLBOUND CHOPPER
CROSS ROAD
NOTHING BUT THE BLUES
もしも終わりが見えたなら
R.A.W.M.I.N.D.S
(浅草散歩)