
アポロ11号(1969年)の船長ニール・アームストロングさんの半生が映画化されるんですってぇ! 製作は、クリント・イーストウッドさんなのよ。宇宙開拓史を、いま何で彼がぁ映画化ぁ?と思ったけど、原作を読んで勝手に納得。「硫黄島・・」に続き、国民精神の転換を戦争期(米ソ冷戦)を背景に、個人史劇の形で描きたいんでしょうと、想像です。
原作はアームストロング氏が唯一認めた、公式の伝記(評伝?)なのだそうです。ありがちな紙芝居的の偉人業績ストーリィでなく、歴史学者の俯瞰の視点が特徴的で、人間描写が無慈悲(冷徹)なのよ。なんかあ、新鮮だわ! 非宗教的で論理的、そして高潔で寡黙とアームストロングさんを論評する部分は、ややもすると旧来規範に則っていない人間性の欠如と云いたいのかと邪推しちゃう。よくアームストロングさんご本人は許諾したなと、思いました。James R. Hansenさん著、日暮雅通さん&水谷 淳さん翻訳の「ファーストマン 上下巻」(ソフトバンククリェイティブ)です。
さてと、お忙しい方は、かったるい導入部分の90頁ほどは、飛ばして第6章あたりからのテストパイロット時代から読んでみてもよろしいかも。月着陸ミッションは下巻でございます。本書は、資料価値にみちみちた大著です。ドラマチックな下巻にそなえ、それまで体力を温存いたしましょう。
上巻では映画「ライトスタッフ」でお馴染みチャック・イェーガーさんのことも、アームストロングさんのX15(!)テストパイロット時代の業績と共に記述されてます。チャック・イェーガーさんは映画では演出過剰気味に祭り上げられていて、感動のラストシーンは史実では違うのよ、とかね。(チッ! 大好きなシーンなのに、お節介めぇ〜)
下巻では、イーグル号から月面に最初に降り立つ”ファーストマン”が、アームストロングさんに決まるまでの経緯に驚き、さらに着陸してからの”月面ポートレート”疑惑にもドキドキよぉ。題材は技術史なんだけど、本書のフレーミングは「司馬史観」に似ているかもです。ふぅ。
(浅草散歩)