カナスピカ
20070630224104その少年の外観は、肌触りが金属と革の中間の質感ってところに、妄想アンテナが引っ掛かりましたよ。SF設定が入った、ちょっと地味系のガールミーツボーイな初恋物語です。人付き合いが苦手っぽい女子中学生の加奈は、地球外文明の人工衛星落下に遭遇します。衛星は地球を観測していたところ、隕石と衝突(高度文明の機械なわりに、災厄に弱い…)。彼女は、カナスピカと名乗る人工衛星の少年型擬態と親密になり、彼が軌道上に戻る手伝いを始めるの。感情を持たない衛星くんと、加奈との距離間が縮まってゆくにつれ、加奈と級友たちとの空気感も変わってゆきます。秋田禎信さんの「カナスピカ」(講談社)です。

市役所宇宙人対策室の妨害シークエンスの終盤は、サスペンス感に欠けててダレます。映画「ジュブナイル」みたいな集団劇だったら、盛り上がるんでしょうけど、狙いの方向はコミュニケーションが不得手な加奈の成長なので、SFラブ路線は期待しないほうが宜しいかとぉ♪

少年との別れを前にして、ママが失恋モードの加奈を気遣う会話が、温かい雰囲気を醸しだしてて、ほろりとした良い気分になりました。

(浅草散歩)
【2007/06/30 22:39】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
世界を壊す金融資本主義
20070629234903粗野な世界が、”洗練”されたシステムに駆逐されている現状と、ゆく末を、(思ったよりも意外に!)嫌みのない欧州視点で論じており、新鮮な味わいなの。本書はフランスで、3万部超のベストセラーだそうです。年金基金とファンド・マネージャーの権勢が増し、米国主導の金融資本主義が粛々と世界の構図を変えつつあります。たしかに恩恵を受けていることを重々感じていますが、と同時に実態経済との乖離を感じるというか、骨抜きにされてるような違和感があるよなぁ。そんな、ローカルな民主主義が壊されてゆく危機を、ラディカルに提言しています。ジャン・ペイルルヴァッド(Jean Peyrelevade)さん著、林 昌宏さん翻訳、宇野彰洋さん&山田雅俊さん監修の「世界を壊す金融資本主義」(NTT出版)です。

米国社会の老齢化問題によって、前述の年金基金のバランスが崩れ、金融資本主義ヘゲモニー間のバトルが起きるだろうとの指摘は、興味深かったです。それに伴う地球規模での社会資本受益の格差拡大って、嫌〜な不安がよぎります。

#本書で資本主義の現在進行形を、
#あえて、トータル・キャピタリズムと名付ける意義は、
#いささか解りづらかったわぁ。
#だってぇ、地球規模=トータルはあたりまえ過ぎるんですもの。

(浅草散歩)
【2007/06/29 23:47】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
空色デイズ
20070628022603「空色デイズ」も楽しめますけど〜、むしろぉ、「みつばちのささやき」で、癒されます♪ 作曲が、SMAP「Dear WOMAN」の平田祥一郎さんなの。大内正徳さんの詞が80年代アイドルフレーバーで、キャンディ・ポップですよ。中川翔子さんのCD「空色デイズ」です。



#そうそう、タイトルにおやっ?と思ったんだけど、
#アナ・トレントさんがご出演の映画、
#「ミツバチのささやき」(監督: ビクトル・エリセ)への
#オマージュは特にないみたいよ。
#7歳のときのアナちゃん、可憐だったなぁ。

<収録曲>
・ 空色デイズ
・happily ever after
・みつばちのささやき

(浅草散歩)
【2007/06/28 02:23】 | 未分類 | トラックバック(1) | コメント(2) | page top↑
きみはポラリス
20070628022604ノンケの同級生に恋愛感情を抱いちゃった男子学生の報われない悲恋を描いた最初と最後のエピソードは、連作形式となっています。それって、BL目当てで本書を買った方へのご褒美なのかしら? この短編集は全体を通していうと、日常に潜むドロっとした感情の起伏の瞬間を描く、まったりとした味わいかな。三浦しをんさんの「きみはポラリス」(新潮社)です。

「骨片」という作品が映像的かも♪ 筆運びは軽いのに、余韻の残し方が向田邦子さん風味なんです。たぶん昭和前期あたりと想像されるころ、主人公の彼女は大学卒業後に餡屋を営む実家に戻ります。じゃぁ、では、大学に通った意味って何なのかしら、と彼女は煩悶してます。だって、結果として適齢期の出会いを逃し、地方の封建的な社会でも浮いちゃって、嫁ぎ遅れるんですもの(それでいて、”小津”っぽくはないのです)。そんなある日、大学時代に好意を寄せていた恩師が急逝します。彼女は、葬儀で衝動的に彼の遺骨のひとかけらを掠め、そこから、彼女の心の歯車が、ゆるりゆるりと回り始めます。今は亡き、TV演出家の久世光彦さんが、おそらくに興味を示しそうな滋味を感じました。わたくしも、ある時期、ある方の骨片を肌身離さず持っていたことを思いだし、涙しちゃった。

<収録作>
・永遠に完成しない二通の手紙
・裏切らないこと
・私たちがしたこと
・夜にあふれるもの
・骨片
・ペーパークラフト
・優雅な生活
・春太の冒険
・冬の一等星
・永遠につづく手紙の最初の一文

(浅草散歩)
【2007/06/27 23:59】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
猫はカガクに恋をする?
20070626013904「シュレディンガーの猫」「アンティキテラ」ってフレーズで、ぴ〜んとくる方にお勧めの小説なの。ある日のこと、”シュレディンガーの猫”が、主人公と彼女の部屋に突如として現れ、不思議なタイムリープ現象が起こり始めますよ。まず2人は、量子力学における有名なパラドックスを提示した、物理学者のエルヴィン・シュレーディンガーさんの書斎へ、時空を越えて飛ばされます。その後も多彩な科学者の元へ、ふふっとタイムリープすしてゆき、アニメ『タイムボカン』のラストの落ちみたいに、ほんわかぁ〜っとした雰囲気で締めくるのです。毎エピソードのサイエンス・ネタをどう料理するか、楽しんでみてくださいませ。竹内薫さん×藤井かおりさんの「猫はカガクに恋をする?」(インデックスコミュニケーション)です。

#自然主義的文学な観点でいうと、
#小説としての纏まり具合は、
#いささか生固いところではあります。
#だけど、執筆者たちがサイエンスを咀嚼して、
#ひろく届けたいって熱意を感じたの。

<エピソード>
・シュレディンガーの猫
・アンティキテラの機械
・彼、けものと鳥ども、魚どもと語りき
・ガリレオの指
・算額奉納
・ピエール・キューリーの鞄
・親愛なるアインシュタイン様

(浅草散歩)
【2007/06/26 01:36】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
涙の川を渉るとき〜遠藤実自伝〜
20070625021802初ヒットを出すまでのご苦労が、尋常じゃなく涙を誘います。赤貧とひとことでは言い表せない道のりから、「高校3年生」「星影のワルツ」「くちなしの花」「北国の春」など数多くのヒット曲が生まれたのですね。上京といえば思い出される挿絵画家・高畠華宵さんの作品、「さらば故郷!」で描かれた美麗な少年姿は、美化された心象風景であって、おそらくに多数派は遠藤実さんのような子供たちばかりだったのでしょう。いまいちど、歌詞を噛みしめてみます。
昭和7年に東京・墨田区に生まれ、新潟県に育った遠藤実さんが上京し、流しの演歌師をしながら作曲を独学する姿には、ビッグネームになってからの彼しか知らなかったので、とても心打たれました。遠藤実さんの「涙の川を渉るとき〜遠藤実自伝〜」(日本経済新聞社)です。

#太平住宅がパトロンとなって、
#遠藤実さんをかついだミノルフォンレコードが設立され、
#さらに徳間書店が買収し徳間音工(現徳間ジャパン)となったの。

(浅草散歩)
【2007/06/25 02:16】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
キサラギ/サイドカーに犬
20070624224106香川照之さんがご出演される映画のハズレ率って、めちゃ低いかも! 劇場内は、観客たちが笑い所で手を叩いての大爆笑でしたよ。香川さんと、小栗旬くん、小出恵介くん、塚地武雅さん、ユースケ・サンタマリアさんの5人がアイドルヲタでぇ、自殺した女性アイドル歌手の一周忌に集いまして、死の真相を巡って一騒動となります。映画「キサラギ」です。

映画のタイトルは、アイドルの名前が”如月ミキ”ってところから決められた模様。ヲタ5人の素性が明かされてゆく筋書きと仕掛けによって、笑いのエントロピーがますます上昇しはじめると、終劇へ向かっての観客たちの期待感が肌で感じられました。昔の浅草松竹で「寅さん」「釣りバカ」が上映されていた、喜劇映画全盛期の雰囲気を久しぶりに感じたの。小栗くんがかわいいし、小出くんはかっこいいし、いうことなし! 喜劇のコツとツボをしっかと踏まえた古沢良太さんの脚本が絶品です。

#エンディングも笑えます。
#主演5人のPPPHが爆笑。

20070624224103気後れする性格の女子小学生が、夏休みに父の若くて奔放な愛人と過ごす、ひと夏のお話です。ミムラさんの芝居が久しぶりに拝めたのと、オーラ出しまくりの古田新太さん、そして樹木希林さんの怪演が収穫だった以外は、薄ぼんやりとした印象しか残らなかった映画でした。「父の愛人」「夏」というキーワードから、淫らで淫靡なフランス映画のようなものを想像しておりましたが、すっかりハズレました。根岸吉太郎監督の「サイドカーに犬」です。

巻き込まれ系しか演じたことのない竹内結子さんにとって、古田新太さんの愛人役はいささか荷の重いお仕事になっちゃったのかもしれません。古田新太さんが彼女に気を遣っている演技が、むしろ演技に見えず、二人の性関係がまったく暗示されないのよ。
ラストでキャットファイトを演ずる古田新太さんの正妻が鈴木砂羽さんって配役は、想定としては適切かと思うけれど、結果として作品世界から竹内さんが浮遊してしまった原因になっているかもしれません。

(浅草散歩)
【2007/06/24 22:39】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
転校生 さよなら あなた
20070624190908監督お約束の新人女優脱がしと、乳揉みシーンはありますので、その筋の方、ご安心くださいませ♪ 大林監督ご自身がリメイクしたことにより、結末がまったく変わった「転校生」となっています。批判・中傷を恐れることなく潤色しちゃう作家性は、いかにも彼らしく、作品内容とは別次元で好きですよ。60年代の彼の自主映画でのモチーフを織り込んでみたり、決して水平にならない傾いだ構図で撮っていたり、リップシンクロをはずしたり、一般観客を置き去りにする小技が満載! 大林宣彦監督の映画「転校生 さよなら あなた」です。

驚いたことに、旧作では小林聡美さんが演じ、本作では蓮佛美沙子さん演ずる一美が、難病理由で死んじゃいます。泣かせモノとして感動したけどさぁ、希望と未来を予感させてくれた旧作結末の素晴らしさは、まるっきり消滅してますよ。生き残ったものたちの、後ろめたさ感で締め括る彼の映画「廃市」(1984年)系な作品です。

舞台が尾道ではなく、長野になったことにさほど違和感はありません。序盤は、その舞台変更と、登場人物の細かい設定を除いて、旧作を懐かしくトレースしていきます。男女が入れ代わることによる、スラップスティックなシーンとか、ほぼ同じ。一夫役への大林監督の思い入れは、旧作で尾美としのりさんに8mmカメラを与えたのに対し、森田直幸くんへのピアノを与えます。が、入れ代わりしたために、感動的なピアノ弾き語りシーンは蓮佛美沙子さんに取られちゃう。なんとも、存在感が薄い一夫となってしまい、かわいそうだわ。

後半は前述の脚本変更により、死をテーマにしたときの北野武映画みたいなの。「HANABI」「DOLL」を想起させます。ね、「転校生」じゃないでしょ。

(浅草散歩)
【2007/06/23 23:59】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
アニソンマガジン
20070623154704彼女が発言中でピックアップするアニソンは、どれも60年代日本語ロックの流れを汲む正統派ばかりですよ。リスナー側から、シンガー側へとご活躍をされ始めてますが、基礎体力ありそうだし、伸びしろが期待できそう。その巻頭インタビュアーさんの質問方針からして、硬派で濃いめな音楽評論媒体でございました。「アニソンマガジンVol.1」(洋泉社)です。

『らき☆すた』のop主題歌「もってけ!セーラーふく」に関しては、神前暁さん(作曲)、畑亜貴さん(作詞)へのロングインタビューを敢行してます。電波ソングの核心としては、詞の方に興味津々だったので、畑亜貴さんのディスコグラフィーの幅広さに驚きました。勉強、勉強♪

#vol.2は出るといいですね。
#「売れ行き次第!」と次号予告であおってましたけど、
#楽しみです。


20070623154705はて、1曲目が「夢の中へ」なのは、はぁ、”コミケ”のカバーね、と納得。何曲か入っている洋楽のカバーは、トレーニング不足が否めず、ちょっと聞いてて辛かったの。桃井はるこさんのCD「COVER BEST カバー電車」です。



<収録曲>
1. 夢の中へ Real Audio
2. 真・.com子ちゃんのテーマ
3. 夢冒険
4. THE GOONIES'R'GOOD ENOUGH
5. 未来形アイドル
6. TOUGH BOY
7. 恋はくえすちょん
8. ゆずれない願い
9. God knows...
10. VIDEO KILLED THE RADIO STAR(ラジオスターの悲劇)

(浅草散歩)

【2007/06/22 15:45】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
女性の品格
20070621102602何事につけても御礼の”手紙”を書きましょうとか、心尽くしたギフトの効用説明などは、グローバル志向というよりは、大正教養主義的な内容なだったの(大衆でなく、大正よ)。昭和女子大学副学長にして元内閣府男女共同参画局長だった坂東眞理子さんの経歴ならではな、礼儀やマナーの本でした。ベストセラーとなったのは、昭和後期と比べて格段に進展した、教育や労働市場への女性参加の反作用としての一時的なリベラリズム回帰心情ニーズにあるのかなぁ。文化資本面では、90年代以降の腐女子文化勃興にも遠因あり、と睨んでみます。ちょうど「ユリイカ」特集号の腐女子文化を併読したってだけのことなんですけどぉ。坂東眞理子さんの「女性の品格」 PHP研究所です。

(浅草散歩)

【2007/06/21 10:16】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
まぐろ
20070619232703まぐろ頭部の表紙写真インパクトにどっきり! 児童書で著名な出版社の雑誌なので、食材に関する図解や、周辺情報がとても平易に取り上げられていて、楽しかったの。わたくしが大好きな、福音館書店の月刊かがく絵本「かがくのとも」の大人向け食材版、そんな印象でございました。マザーフードマガジン創刊号 「「旬」がまるごと まぐろ」(ポプラ社)です。

さて、まぐろに続く次号特集はトマトだそうです。ワクワク((o(^-^)o))

(浅草散歩)
【2007/06/19 23:26】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top↑
きみにしか聞こえない
20070618100503長野に住む青年と、横浜に住む女子高生は、ある日、空想の携帯電話でテレパシー会話ができるようになり、距離と時間を超えた交流を始めます。ハンディキャップを抱える男女が、”出会い系”で癒され、初デートが成就するも永遠が2人を引き裂さいちゃう悲恋なの。「神童」「あしたの私のつくり方」に続く成海璃子さんの主演作は、乙
一さん原作のタイムパラドックス系のリリカルSFでしたよ。映画「きみにしか聞こえない」です。

存在感はあるけれど、演技の幅はまだ狭い成海璃子さんに与えられた本作の試練は、クライマックスで空に向かって叫ぶこと。その演出が、すばらしいわぁ。今の彼女の実年齢でしか引き出せない、至宝のシークエンスですよ。
超ローアングルで水平構図の美しいカットを丁寧に重ねていく序盤の展開は、いささか説明的でスローテンポな感じです。成海璃子さん独特の強い視線表現も、ローアングルによって敢えて封じ込められています。それが一気に開放されるラストシーンが、泣けるのよ。臥した小出恵介さん視点で撮られた、成海璃子さんのアップカットは観客の涙腺回路をオンするスイッチとなります。

#エンドクレジットで流れる、
#DreamsComeTrueの主題歌が心地よい余韻でした

(浅草散歩)

【2007/06/18 10:03】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top↑
舞妓Haaaan!!!
20070617233906しこたまぁ〜、腹を抱えた喜劇でございました。祇園のお座敷をめぐる阿部サダヲさん×堤真一さんの闘いは、東宝映画・社長シリーズみたいだったの。テムポがよろしいかと。でもでも、笑いのシークエンス以外は、なんとも薄味な映画でしたよ。柴咲コウさんが舞妓になるも、置屋内でのポジション説明があっさりしすぎてるのよぉ。彼女よりも、小出早織さんの熱演に感情移入しちゃったわ。それに、花柳界を描いた作品なのに、”釣りバカ”的なラストシーンは、いくらぁなんでも、原職の方たちにに対して失礼なんじゃぁないでしょうか。映画「舞妓Haaaan!!!」です。宮藤官九郎さん脚本にしては、消化不良だったですぅ。

#植木等さんが、
#西陣の大社長さん役でご出演。
#これが最後だったのね。

(浅草散歩)
【2007/06/17 23:36】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
裁縫師
20070617230610母に連れられ訪れた洋装店の主人によって、9歳にして妖しい官能の扉をこじ開けられてしまった少女のお話が、表題作です。様々な女性像を描いた、短編小説集でございますよ。1冊を通じて感じたのは、アンチエイジングへの渇望かな。もう若くない女性が、加齢という現実の不適合感に、葛藤しているやるせなさとでもいうのでしょうか。小池昌代さんの「裁縫師」(角川書店)です。



#読後に、小池さんは、”詩人”としても
#ご活躍されていること知りました。


<収録作>
・裁縫師
・女神
・空港
・左腕
・野ばら

(浅草散歩)
【2007/06/16 23:04】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
カオスの娘 シャーマン探偵ナルコ
20070616000918純文学から越境してきた、R指定ライトノベルの如き作品でございましたわぁ。事件の発端は女子学生が拉致監禁され、自力脱出後に記憶を喪失し、連続殺人犯になったことです。そして、同じころ、主人公の少年ナルヒコが、シャーマン家系の血脈に覚醒し、女子学生の魂の救済に向かうのがメインストーリィなの。

女子学生は、自力脱出後にストリートギャングやヒルズ族への愛人斡旋集団など、裏社会SEX関係者を次々に危める連続殺人犯になってしまうのですよ。拉致監禁された側の人間の心理状態を、ずいぶんとステロタイプに描いており、それが”ライトノベル”的に感じた理由な訳です。島田雅彦さんの「カオスの娘 シャーマン探偵ナルコ」(集英社)です。

結局、終盤は島田さんの分身と思しき大学教授サナダが、シャーマン少年とその女子学生の関係に突如に絡み出し、悪の枢軸=米国資本石油メジャー(ビルダーバーグ倶楽部)へのテロを敢行する下りとなってゆくのです。なんだ、ラノベじゃないんじゃん。なんだかなぁ。

#島田さん作品では、お馴染みのキーワード、
#”多摩川”は本作でも登場よ。

(浅草散歩)

【2007/06/15 23:55】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
滝山コミューン一九七四
20070614105547学内制圧の描き方など、たぶんにNHKの少年ドラマシリーズ「赤外音楽」や他作品も含め、オマージュの意識はあるのでしょう。身を晒しての迫力が凄く、これまでにない斬新な切り口の日本の社会主義イデオロギー分析のノンフィクションでした。69年から75年にかけ、東京都東久留米市の滝山第7小学校に在籍していた著者は、その頃は団地住まいの男の子。都心の私立中学お受験を控えた、いわばエリートくんなの。で、彼が通う学校は、全生研(全国生活指導研究協議会)の学級指導・生徒会運営プログラムを熱心に実践してたんです。かい摘まんでいうと、”班活動”によるソビエト型学級経営ですよ。生徒自身の主体的な行動を通じ、非民主的な集団体制を民主的な集団体制に変えるのが、教師の目論見だったわけです。
著者は当時に子供ながら感じていた違和感(ストレス)を、赤裸々に吐露し、関係者の証言も交え、70年代の社会主義を分析してゆきます。あらためて、70年代は保革が対立する政治の季節であり、国労、動労のストライキはおろか、日教組のストがあったりと、揺れてたよなぁと回想しちゃいました。原 武史さんの「滝山コミューン一九七四」(講談社)です。

教師による思想統制で、1クラスがまず民主化され、さらに”民主的”な校内選挙で各委員会の生徒代表選考が制圧されてゆく過程が刺激的だわ。在校生徒のほぼすべてが、新興の団地住いってこともあり、リベラルを否定し、革新を支持するPTAの存在が、学校という封鎖空間での実験を承認する土壌を生んでいたんです。文革的環境を薄々と感じた著者が、私立中学お受験組の自己保身のため、批判対象への直接行動を巧みに避けてゆく部分が痛々しかったぁ。
かつて著者が書かれた新書「大正天皇」がそうであったように、鉄道オタの視点がセンチメンタリズムとして随所に織り込まれています。それって、本書の隠し味であるとともに、唯一の弱点かもしれません。西武鉄道と団地開発の構造分析のところが、主観的すぎるんですものぉ。


#帆足英里子さんの装幀が、す・て・き♪
#本文組みも手掛けられたのでしょうか。
#小口側の余白が少なく、
#最初は読みづらいと感じたけれど、
#閉塞していく展開意図を的確に表現した、
#理詰めの造本設計だったのねと理解。

(浅草散歩)

【2007/06/14 10:54】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
中等部超能力戦争
20070611213809マイノリティを描く質感が、とっても繊細な世界感なのです。多部未華子さん主演で映画化された「ルート255」も彼(彼女?)の原作だと、読後にググって知りました。この著者さまのプロフィールは、実に興味深っ! 元漫画誌編集者にして、女性の服装で就業したため解雇され、その後、小説に専念されて第122回芥川賞を受賞!なんですって。
本書の主人公、女子中学生にはイタイ系な友達がいて、超能力があると噂されてるんです。けれど、激しいサイキック・ウォーは勃発いたしません。思春期にありがちな女子同志の”共依存”というか、”群れ行為”みたいな小集団形成で起こりがちの歪みを、現代童話風に描いています。自分が世話を焼かなきゃぁ〜と見下していた友人に、実はどっぷりと依存していた”わたし”に気付くというお話しよ。藤野千夜さんの「中等部超能力戦争」(双葉社)です。

この世代の人間関係って、金銭的な利害がないだけに、理解者から疎外されたと感じると、自我を維持するのが辛いんだろうな(≧ω≦)。感情抑制能力も発達途中だし、気持ちが割り切れないですものね。

劇中に登場するガーリー先生なる人物(男性)が、ユニークです。その名の通り、少女趣味な先生です。彼にしてから不思議ちゃんワールド一歩手前の存在なんだけど、大人のルールから、逸脱はいたしません。つーか、出来ません。彼の悩みも、主人公たちの悩みも、マイノリティとしては、おそらくに等質量なのよ。ただ、世間と折り合いを付ける技術を、会得できたかどうかの違いに過ぎないんでしょう。登場人物たちの閉塞感が、切なくて、そして息が詰まりそうになりました。

#そうして、藤野千夜さんの
#ファンになりました。

(浅草散歩)

【2007/06/11 21:37】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
そのときは彼によろしく
20070610231611山田くんが経営する水草ショップに、幼なじみの長澤さんが突如現れ、居候始めちゃうんだけど、彼はまったく据え膳食べちゃう気配がありません。ありえない!! 取引先の国仲涼子さんにモーションかけられてても、彼はまったく気づかないの。水草ショップで雇っているバイトの黄川田将也くんとの、ゲイ関係を想像するも、ご期待に沿うような展開ではございませんでした。長澤まさみさんと山田孝之くんの幼なじみカポーが、十数年の時間を経て辿り着く、奇跡のラストシーンは、癒されるか、苛つくかのどちらかでしょう。市川拓司さん原作らしく、デート映画には最適かと思うので、観賞後の解釈でケンカせぬようご注意召され〜♪ 映画「そのときは彼によろしく」です。
長澤まさみさんの少女時代を演じる黒田凛さんが、女子フィギュアスケートの浅田真央選手に似てます。たぶん、狙ったキャスティングなんでしょうね。実に表情が豊かで、彼女が孤独と喜びの起伏を演じるシーンは泣けます。

#黒田凛さんのキスシーンは、
#鹿島鉄道の玉造町駅でロケ。
#2007年3月31日をもって廃線。

(浅草散歩)
【2007/06/10 23:13】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ブンブン堂のグレちゃん 大阪古本屋バイト日記
20070610231711奇妙なビブリオマニアがたむろし、個性派の店主同士のかけあいが面白く、大阪っぽいわぁ。80年代後半の大阪の古書店を描いた、『彷書月刊』連載をまとめたコミックエッセイです。ふらりと店に表れる常連客の生田耕作さんを、黒マントの怪人に見立てちゃうのが、グレゴリ青山さんらしいの。生田耕作さんはバタイユとか、「地下鉄のザジ」の翻訳をされているくらいの認識がなかったのですが、ユニークな方だったんですね。ダンディズムの極み? 評伝があったら読んでみたいです。グレゴリ青山さんの「ブンブン堂のグレちゃん 大阪古本屋バイト日記」(イースト・プレス)です。

#阪急梅田の古書店懐かし〜

(浅草散歩)
【2007/06/09 23:12】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
性犯罪者から子どもを守る メーガン法の可能性
20070607234803ニコニコと知人が、「子供たちのVIDEOをリッピングするのって、たいへんっすよね♪」って一言。すわ、アキバ系の子役DVD?と、一瞬でも連想してしまう自分がナサケナァ〜。すっかり、業界マーケ思考に毒されてるぅ。前述の知人発言は、もちろん幸せ家族における、ホームVIDEO記録を、ディジタル編集する苦労のほんわかな話題です。

そうそう、日本でも児童に対する性犯罪者の登録・公表制度の導入が、議論され始めてきましたよ。事件発生の頻度が増してきたことや、既存の被害防止手段が役に立たなくなってきたこと、加えて小子化時代を迎えており、裁判で刑罰を受けた者の更正機会と児童及び社会が被る被害可能性のバランスが、児童保護側に傾きつつあるのは言うまでもないことかと思います。すでに米国ではメーガン法という形で各州ごとの実情に照らし合わせて、実施されているそうです。犯罪者の社会復帰を妨げているかのような制度が、何故成立し、憲法に照らし合わせての合憲性はどうなっているのか、解説しています。松井茂記さんの「性犯罪者から子どもを守る メーガン法の可能性」(中央公論新社)です。

おそらくに、日本でも導入すべしを前提に、憲法学者の松井さんは、解説をなされてゆきます。日本国憲法下での合憲性と共に、裁判制度や更正プログラムの現状や問題点まで踏み込んでおられます。プライバシーの侵害、表現の自由など、隣接領域での議論も必要なんだろうなぁ。

だが、性犯罪者の選別となると、優生学の悪夢が鎌首もたげてきそうな悪寒がする点は、見事にスルーしてなくない? 情報公開手段でのインターネット利用の課題を俎上にあげるのであれば、同じく技術革新に根差した将来危険性も指摘するのがフェアじやぁないかしら。

(浅草散歩)

【2007/06/07 23:46】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
今世紀で人類は終わる?
20070606215304盛り上がってますなぁ、「電脳コイル」。ちょいとリリカルだけど明るさがなく(むしろ怖い)、ハードSFな進行がドキドキよ。まさか「トップを狙え!」的な巨大ロボット展開になりやぁしないかと、実はひそかに期待なの。

さて、科学技術の進展に起因する不測の災厄、およびテロが発生する確率が増してます。災厄の伝播範囲と速度は、ビットにしろアトムにしろ、地球規模のネットワーク接続で19世紀以降、急激に拡大してるんですもの。過激なタイトルだけど、中身はいたって淡々と滅亡の原因となりそうな事象を警告されてますよ。SFの軽いネタ本だわぁ。マーティン・リースさん著、堀 千恵子さん訳の「今世紀で人類は終わる?」(草思社)です。

警告を大別すると、ナノテク、バイオ、量子コンピュータ、核兵器、環境汚染といった科学進歩に関わるものと、隕石、地震など地殻変動といった天変地異なの。前者については、科学・技術者の倫理問題や、金融資本主義の進展に伴うリスク確率の上昇に苦慮されてます。極端なハナシ、西欧型グローバリズムに組み込まれることを、是としない集団が、容易に設備投資の少ないかたちで生命および社会破壊力のある技術を保持できちゃつてるってことよ。うん、それを制御するのは悩ましげな問題です。

著者のRees,Martinさんは1942年生れ、天文学/宇宙物理学の権威だからでしょうか、後半部分に力が入ってます。むしろ、入りすぎかな。宇宙規模の天変地異の確率論よりも、ビーイングディジタルの視点で、冷戦体制下の1960年代末から1970年代末に科学者としてご活躍された経験を、後世に語っていただきたかったわ。

(浅草散歩)
【2007/06/06 21:51】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
田中圭一マガジン Comicサイテー
20070605093202お下品でサイテー!! もぅっ、ステキです。博士の開発した人間強化服のパーツが逸失し、乳と陰部まるだし姿で闘うはめになったヒロイン、それがハンラウーマンなわけです。手塚先生をリスペクトしたペンタッチが冴え渡り、数々のお下劣な試練にはにかむ彼女がかわいいの。そもそも手塚作品の女性キャラは、誰しも認めるエロティックな存在感ゆえに、童貞妄想的な田中さんの下ネタ親和性が高すぎなのよ。ていうかぁ、神への冒涜行為に腹抱えて大爆笑。田中圭一さんの「田中圭一マガジン Comicサイテー」(ぶんか社)です。

<収録作品>
・疾風怒濤ホントニア
・闘え!! ハンラウーマン
・本当にあったAVみたいな話
・ブラディキッド
・本当なのか?阪神
・うっかり西園寺
・子猫のミイちゃん
・高級猥談倶楽部(岡田斗司夫さんとの対談)
・ドキドキ政界マンガ

(浅草散歩)

【2007/06/05 09:30】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ファーストマン ニール・アームストロングの半生
20070604235706アポロ11号(1969年)の船長ニール・アームストロングさんの半生が映画化されるんですってぇ! 製作は、クリント・イーストウッドさんなのよ。宇宙開拓史を、いま何で彼がぁ映画化ぁ?と思ったけど、原作を読んで勝手に納得。「硫黄島・・」に続き、国民精神の転換を戦争期(米ソ冷戦)を背景に、個人史劇の形で描きたいんでしょうと、想像です。

原作はアームストロング氏が唯一認めた、公式の伝記(評伝?)なのだそうです。ありがちな紙芝居的の偉人業績ストーリィでなく、歴史学者の俯瞰の視点が特徴的で、人間描写が無慈悲(冷徹)なのよ。なんかあ、新鮮だわ! 非宗教的で論理的、そして高潔で寡黙とアームストロングさんを論評する部分は、ややもすると旧来規範に則っていない人間性の欠如と云いたいのかと邪推しちゃう。よくアームストロングさんご本人は許諾したなと、思いました。James R. Hansenさん著、日暮雅通さん&水谷 淳さん翻訳の「ファーストマン 上下巻」(ソフトバンククリェイティブ)です。

さてと、お忙しい方は、かったるい導入部分の90頁ほどは、飛ばして第6章あたりからのテストパイロット時代から読んでみてもよろしいかも。月着陸ミッションは下巻でございます。本書は、資料価値にみちみちた大著です。ドラマチックな下巻にそなえ、それまで体力を温存いたしましょう。

上巻では映画「ライトスタッフ」でお馴染みチャック・イェーガーさんのことも、アームストロングさんのX15(!)テストパイロット時代の業績と共に記述されてます。チャック・イェーガーさんは映画では演出過剰気味に祭り上げられていて、感動のラストシーンは史実では違うのよ、とかね。(チッ! 大好きなシーンなのに、お節介めぇ〜)

下巻では、イーグル号から月面に最初に降り立つ”ファーストマン”が、アームストロングさんに決まるまでの経緯に驚き、さらに着陸してからの”月面ポートレート”疑惑にもドキドキよぉ。題材は技術史なんだけど、本書のフレーミングは「司馬史観」に似ているかもです。ふぅ。

(浅草散歩)

【2007/06/04 23:56】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
監督・ばんざい!
20070604010451前作の「TAKESHIS'」がひたすら難解だったのに比べ、今回は予想通りの「みんな〜やってるか!」路線だったの。空前の理不尽さはファミコンソフト『たけしの挑戦状』に匹敵するわ。今年の愛すべきワースト作品決定よ。北野武監督の「監督・ばんざい!」です。
井手らっきょさん演ずるマッドサイエンティストが出てくる後半からは、シモネタ満載でめちゃくちゃの極みなんです。苦悩する映画監督が主人公とのことで、もしかして・・・フェリーニの「8 1/2」をイメージしていましたが、見事なまでの肩すかし!

(浅草散歩)
【2007/06/03 23:50】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
大日本人
20070604010409疑似ドキュメンタリーの手法を積み上げ、映画的な大団円に着地するのかと思いきや、とんでもないラストにあっけにとられました。「おニャン子ザ・ムービー 危機イッパツ!」に匹敵する面白さだわぁ。松本人志監督の「大日本人」です。
映画というよりも、松本コントの集大成なの。いたってTV的な肌合いでして、「ダウンタウンのごっつええ感じ」や「一人 ごっつ」の延長にあるコントを、映画形式で纏めた作品ですよ。

(浅草散歩)
【2007/06/02 23:49】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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